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顎関節症の治療成績

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顎関節症患者の治療成績

図1.性別 当院は2007年6月18日に開院し2年が経過したので、この2年間の顎関節症患者の治療成績を検討しました。

【対象症例】

2007年6月18日から2009年6月17日までの2年間に顎関節症の主要3症状(顎関節雑音、顎運動による関節痛、開口障害)を主訴に海野歯科医院を初診した126名を対象症例とした。これは、この時期の新患患者1247名の10.1%に相当した。

  1. 性別
    男性35例(27.8%)、女性91例(72.2%)と女性が多く、男女比は1:2.6であった(図1)
  2. 年齢別
    10歳代15例(11.9%)、20歳代41例(32.5%)、30歳代36例(28.6%)、40歳代14例(11.1%)、50歳代7例(5.6%)、60歳代8例(6.3%)、70歳代5例(4.0%)で、20歳代、30歳代にピークを認めた。男性、女性で同様な傾向であったが、60歳代以上は女性だけであった(図2)

図2.年齢別

当院の顎関節の治療について

図3.治療方法 当院では、顎関節症の現時点における標準的治療である心理教育とスプリント療法を行っている。
心理教育の内容は

  1. 疾患の成立ちや治療の進め方、予後良好例が多いことを説明し、患者の不安を和らげる。
  2. 症状を持続、悪化させないような生活指導(局所の安静、無意識にやっている食いしばりの自覚と予防、精神の安静、食事指導)で、主に初診時に施行される。

その後数か月続けられるスプリント療法は、上顎あるいは下顎に着脱可能なアクリル製のスプリントを装着して顎の安静をはかるもので、患者に食いしばり(クレンチング)を自覚させることや自己管理技術を患者に提供する意図も含まれている。

治療法は、心理教育のみの症例と心理教育+スプリント療法を施行した症例の2群である(図3)。心理教育のみの群は56例(44.4%)で、関節雑音のみ、または、発症2週間以内で、関節痛・開口障害あったが診察時は軽快あるいは消失していた症例である。
これらの治療群は症状への不安が主体で来院する場合が大部分で、心理教育により顎関節症の理解が得られ、初診時だけで終了している。
その後の経過は不明であるが、終了時に2週間経過しても改善しない場合は再診するように説明していること、これらの治療群で数例、他の歯科疾患でその後再診している際に、症状がいずれも改善していたことを考えると良好に経過していると推測される。
心理教育+スプリント療法を施行した群は70例(55.6%)で、2週間以上関節痛・開口障が改善しない例、何回も発症を繰り返している例、夜間の食いしばりを自覚している例を対象にした。
これらの70例の治療成績を以下に検討した。治療間隔は、スプリント装着直後は約2週間後に診察し、その後は月1回の診察を原則とした。

治療成績

判定は、「不能」、「不変」、「軽快」、「改善」で評価した。悪化した症例はなかった。
不能と判定した症例は13例(18.6%)認めた。内訳は、スプリント装着時に来院しなかった1例、スプリントを装着後来院しなかった10例、夜間食いしばりを自覚していて予防的にスプリントを装着した2例であった。
不変の判定は、最終来院時に自覚的・他覚的に症状の改善を認めなかった症例とし、2例(2.9%)認めた。
1例は、開口量は25mmから33mmしか増大せず、症状の改善も自覚できなかった症例で、治療回数は7回で、転居により中止となった。他の1例は、開口量は40mmだが、関節痛が改善しなかった症例で、治療回数は3回で、未来院で中止となった。
軽快の判定は、最終来院時に自覚的・他覚的に症状の軽快を認めるが、軽度の症状の残存があった症例とし、18例(25.7%)認めた。
その内、9例は未来院で中止、1例は転居で中止、7例は継続中で、終了となった1例は、開閉時の引っかかりの症状が残存した症例であった。
改善の判定は、開口量40mm以上、顎運動時の関節痛を認めない症例とし、37例(52.9%)認めた。改善までの治療回数は、3回が4例、4回~5回が11例、6~9回が20例、10回以上が2例で、4~9回で8割を占めていた。
治療回数4~9回は、治療期間では3~6か月に相当した(図4)

図4.心理療法+スプリント療法の治療成績

治療成績のまとめ

今回、当院で施行した心理教育に引き続き行われるスプリント療法は、欧米、日本における顎関節症の標準的治療とされていて、Suvinenら(1)は70~80%の長期的な良好な結果が認められると報告している。当院の結果も、軽快例と改善例を合わせると78.8%で同様であり、ほぼ満足のいく結果であった。改善例の大部分の治療期間が3か月以上であったことを考慮すると、不能例、不変例で如何にして治療を継続させることが今後の課題と考えられる。それには、初回時に施行される心理教育の内容の更なるレベルアップが必要であると感じられた。
この結果を踏まえて、今後は今までの治療をベースに、今回の課題を加味して治療を継続していきたい。数年後、また、同様な検討をする予定である。

参考文献

1.Suvinen TI, Reade PC, Kemppainen P, et al.:Review of aetiologicalconcepts of tempomomandibular pain disorders : towards a biopsychosocial model for integration of physical disorder factors with psychological and psychosocial illness impact factors. European J Pain, 9 ; 613-633, 2005.

顎関節症患者の治療成績:第2報

図1.性別 前回、開院してから2年間の顎関節症患者の治療成績を報告したが、今回はそれから4年間の治療成績を同様に検討したので報告する。

対象症例

2009年6月18日から2013年6月17日までの4年間に顎関節症の主要3症状(顎関節雑音、顎運動による関節痛、開口障害)を主訴に海野歯科医院を初診した271名を対象症例とした。これは、この時期の新患患者1570名の17.3%に相当した。

  1. 性別
    男性81例(29.9%)、女性190例(71.1%)と女性が多く、男女比は1:2.3であった(図1)
  2. 年齢別
    10歳代23例(8.5%)、20歳代61例(22.5%)、30歳代68例(25.1%)、40歳代47例(17.3%)、50歳代25例(9.2%)、60歳代27例(10.0%)、70歳代15例(5.5%)、80歳代5例(1.8%)で、30歳代、20歳代にピークを認めた。男性、女性で同様な傾向であった。最小は10歳、最高齢は88歳であった(図2)

図2.年齢別

当院の顎関節の治療について:第2報

図3.治療方法
表1.治療成績の判定基準
表2.心理教育のみの群の治療成績

治療方法は前回と同様で、標準的治療である心理教育とスプリント療法を行った。内容もほぼ同じ(前回の報告を参照)であったが、心理教育の内容で、歯の接触(食いしばり、歯ぎしり)の生理学的意義1)(ストレスへの適応、発散)、東京医科歯科大学顎関節治療部の木野准教授が提唱するTooth Contacting Habit(TCH)2)の紹介と予防、顎関節症は「障害というよりは咀嚼器官を守るための適応」という私の仮説を加えて行った。 治療法は、前回同様、心理教育のみの症例と心理教育+スプリント療法を施行した症例の2群である(図3)。その適応と内容は前回の報告に準じた。心理教育のみの群は127例(46.9%)であった。心理教育+スプリント療法を施行した群は144例(53.1%)であった。

治療成績

治療成績の判定基準は前回の報告に準じた(表1)
心理教育のみ群127例の治療成績を(表2)に示す。111例は初診の1回のみで終了し、「評価なし」とした。3例はスプリント療法の適応と思われたが諸事情により、1回のみで「中止、中断」となった。治療回数が2~4回は13例あり、改善8例、軽快5例であった。
心理教育+スプリント療法群144例の治療成績を(図4)に示す。中止・中断は17例(11.8%)、不変は20例(13.8%)、軽快は39例(27.0%)、改善は68例(47.2%)であった。改善までの回数は3~8回で85%を占めていた。軽快例と改善例を合わせると74.2%であった。

図4.心理療法+スプリント療法の治療成績

前回の報告との比較

前回の報告と比較すると、男女比は前回1:2.6で、今回1:2.3でほぼ同様な傾向であった。
年齢別でも、前回と同様の傾向であったが、前回は20歳代が一番多く、次に30歳代、今回は30歳代が一番多く次に20歳代と20歳代と30歳代で逆転が認められた。20歳代、30歳代にピークを認めたのは同様であった。
治療方法別では、前回は心理教育のみ群44.4%、心理教育+スプリント群55.6%で、今回は心理教育のみ群46.9%、心理教育+スプリント群53.1%でほぼ同様であった。
治療結果では、前回の心理教育+スプリント群(70例)の軽快例と改善例を合わせると78.8%で、今回の心理教育+スプリント群(144例)のそれは74.2%で若干前回より下回った。


治療成績のまとめ:第2報

今回の心理教育+スプリント群144例の治療結果は前回の治療成績と比べると若干下回ったが、74.2%が軽快あるいは改善しており、顎関節症治療施設の一般的な治療レベルを維持していることが示された。しかし、4人に一人が中止・中断あるいは不変で、軽快・改善していないことも事実である。今回の中止・中断17例のうち、大部分の16例がスプリントを装着して、その後未来院で中断になった症例であった。このうちの2例は、数か月後に別の疾患で当院を受診した際、スプリントを装着していて、1例は軽快、1例は改善していた。その他の症例の経過は不明で、今後、この中止・中断例を減らしていくことが治療成績の向上の一つの鍵と考えられた。それには、未来院した患者さんに積極的に連絡をとり、症状の状態を把握し、来院を促すことも必要であろう。不変例は前回の2例から20例と大幅に増加した。8例は開閉口時の引っかかり、2例は咀嚼筋の痛みが軽快・改善しなかった。2例は6回治療後、開口時の痛みの改善が認められず、中断となったが、1年後に来院時には改善していた。残りの4症例は精神的な問題が強く、昼間のTCHをコントロールできない状態と考えられ、症状をこれ以上悪化させないために治療を継続した。治療回数15回、21回の不変例がこれらの症例である。不変例の多くは、長い病悩期間と治療期間を有しており、難治症例と考えられる。その突破口としては、現状では、従来の治療に加えて、木野らが提唱するTCHに気づいて止めるなどの生活習慣の見直しを重視して指導していくことが肝要と考える。

参考文献

  1. 佐藤貞雄ほか ブラキシズムの臨床―その発生要因と臨床的対応―クインテッセンス出版 2009
  2. 木野孔司 TCHのコントロールで治す顎関節症 医歯薬出版 2013
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